酷すぎる派遣会社と対峙、49歳男性救った「知恵」
2023年2月27日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに
陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースに
フォーカスしてリポートしていく。
その派遣会社には初日から不信感が募った。
「退勤時刻を17時半から17時に繰り上げてくれませんか」
ヒデアキさん(仮名、49歳)が初勤務を終えて帰ろうとすると、建物の外で待ち構えていた派遣会社の担当者から
こう持ちかけられた。「派遣先の要望なので。書類を作り直しますね」。担当者は一方的に話を進めようとしたという。
しかし、勤務時間のカットは収入減を意味する。時給1200円だったので、ざっと計算しても月1万円以上の減収。
ヒデアキさんには共働きの妻と3人の子どもがいた。収入ダウンは死活問題だ。「困ります」と抵抗するヒデアキさんに
対し、「(勤務時間の変更は)ときどきあること」と言い張る担当者。押し問答の末、ヒデアキさんが
「そんなの契約違反ですよね」と語気を強めると、ようやく引き下がったという。
健康保険証をめぐるトラブルもあった。入社から2カ月後、ようやく保険証の代わりとなる「健康保険被保険者資格証明書」を渡されたものの、「被扶養者欄」が空欄のうえ、斜線が引かれていたのだ。これでは家族が保険を使えない。
ヒデアキさんが指摘しても、担当者は「大丈夫です」と言うばかり。市役所に確認したうえで重ねて問いただすと、
今度は「家族を(保険に)入れない方も結構、いらっしゃるんですけど……」と意味不明の言い訳をしてきたという。
「担当者が自分のミスを隠そうとしたのではないか」とヒデアキさんは推測する。
担当者個人の資質の問題かと思いきや、新たに交替した担当者も勤怠表や、更新時に必要な労働条件通知書を期日に
なっても持参しないことがあった。やむを得ずメールで支社や本部に問い合わせてもなしのつぶて。後で調べたところ、
この派遣会社の系列会社が、派遣労働者を社会保険に加入させなかったとして、厚生労働省から事業停止命令を受けて
いたこともわかったという。
こんな記事があったので気になる方はどうでしょうか?
このようなトラブルは日常生活に多々あるかもしれませんので困ったときは「もみじ110番」へお気軽に