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大学が学生45人を訴えた…!名門・京都大学

2023年2月14日

京都大学は、難関大学として東京大学と並ぶ存在だ。一般的には、より自由な学風を持っているのが京都大学と
思われているのではないだろうか。確かに、基本理念にも「創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展」させることを掲げている。
 しかし、2010年代後半からの京都大学は、この学風が「変質した」との声が内部から聞こえてくる。
なぜなら、大学が学生から自由を奪い、強権的に管理する事態が、他の大学にも増して頻繁に起きているからだ。
その一つが、大学の吉田南キャンパス内に建つ学生寮、吉田寮の問題だ。
2022年2月、大学入試の前期試験が行われる直前に、京都大学のホームページには次のような文面が掲載された。
 現在、「吉田寮自治会」名義で、2022年春期入寮募集の実施が案内されていますが、この「吉田寮自治会」を
自称する団体に対し、本学が入寮募集を委託した事実はありません。
(中略)本学学生その他の者が上記募集に応じて吉田寮に入寮することは本学施設を不法に占有するものであって
到底容認できないことを、改めてここに周知徹底するものです。
「入寮の妨害」も起きた
 吉田寮には約120人の学生が暮らす。毎年新たな学生も入寮している。にもかかわらず、「不法に占有」と
断じているのだ。同様の文面はこれまでも何度か掲載されていた。吉田寮自治会はこれを
「複数の誤解を招く表現・誤謬を含む」文書だとして、大学に撤回を求めるとともに強く抗議している。
 それだけではない。吉田寮で暮らす学生は「大学側が吉田寮への学生の入寮を妨害している」と証言する。実際に
ある寮生は、学内で寮の案内をしようとした際、大学職員から妨害を受けたと話す。
 「入寮の案内をしているときに複数の職員が駆け寄ってきて、注意されました。案内の活動が妨害され始めたのは
2019年頃からと聞いています。大学生協から新入生に配られるパンフレットには、吉田寮には入寮しないように
呼びかけるチラシも入っていました。大学がやっていることは、吉田寮に対するいやがらせではないでしょうか」
 なぜ大学は吉田寮への入寮や、寮生による案内を妨害するのか。実は、京都大学は吉田寮からの立ち退きを求めて、
学生らを提訴している。被告の総数は寮生や元寮生など45人にのぼる。
京都大学の長い歴史で、大学側がこれだけ多くの学生を提訴した例はない。
 大学側の提訴に対して、寮生らは弁護団を立てて裁判に対応しながら、大学に裁判の取り下げと話し合いの再開を
要求し続けている。極めて異常な事態と言っていいだろう。
吉田寮は現役の学生寮としては日本最古だ。120部屋がある現棟と呼ばれる建物は、100年以上前の1913年に建築された。
同じく木造の食堂と、2015年に木造と鉄筋コンクリート造の混構造で建設された60部屋の新棟の3棟がある。
 寮生にとってありがたいのは、寮費の安さだ。1ヵ月あたりの寄宿料は400円だけ。それに水道光熱費約1600円と、
自治会費500円を合わせても、月額の寮費は約2500円しかかからない。近隣の熊野寮とともに、経済的な事情を抱えた
すべての学生にとって欠かせない存在だ。もともと入寮資格を日本人の男子学生に限っていたが、現在は性別要件は
撤廃され、さらに留学生、科目等履修生、聴講生などにも門戸を開いている。
 また、寮生による自治で運営されていることも大きな特徴だ。寮の備品の購入や、取材の対応をどうするかなど、
寮に関するすべてのことは寮生が参加する会議で丁寧に議論する。多数決ではなく全会一致で決める、
直接民主主義による運営が受け継がれてきた。
 裁判では、大学側は吉田寮に対して現棟と食堂棟の明け渡しを求めている。大きな争点の一つが、建物の老朽化の
程度だ。提訴後に大学は、当時の厚生補導担当副学長だった川添信介氏の名前で「吉田寮現棟の明渡請求訴訟について」と題した文書を公表した。
 その中で、入寮募集の停止に応じなかった吉田寮の自治会を「責任ある自治を担い得る団体であるとは見なし得ない」と批判し、「問題をこれ以上先送りしないで学生の安全確保を実現することは、もはや本学だけでは不可能であると
判断し、やむなく明渡請求の提訴に至ったものである」と記している。
 これは大学側の言い分である。
『突然立ち入り禁止を宣告されて…日本屈指の名門・京都大学で起きる「寮生対大学」訴訟バトルの内幕』では、
学生対大学の法廷闘争の内情を明らかにする。
この闘争60年安保を思い出します。国の恩恵を受けていた大学は経営の岐路に立たされているのでしょうか?

       

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