予備自衛官を「理由不明」で突然クビ 透明性に欠けるスタンスに疑念
2023年2月6日
18年間務めていた陸上自衛隊の予備自衛官を昨年9月末、突如「クビ」になった。予備自衛官は3年が1任期。
更新時期が近付くごとに「継続任用を希望しますか?」と書面で確認され、「はい」と答えれば基本的には
そのまま継続できる。
何せ、予備自衛官の実員は定員の7割しかいないのだ。常に人員募集に躍起になっているから、よほどのことがない限りは継続任用される。ところが、ある日突然、「任期満了退職」と書かれた辞令書が送られてきたから、心底驚いた。
「?」でいっぱいになった私の心を見透かしたかのように、添えられた紙には黄色いマーカー付きで、
こう強調されていた。「なお、継続任用の採否は、上級部隊等の総合的判断により選考となり、採否理由に関して
のお問い合わせにつきましては、ご回答できませんので、ご了承下さい」
「はい、そうですか」と納得できるものでは到底なく、その書類を送り付けてきた東京地方協力本部に「理由を伝えない
ことにも納得はしていないが、せめてどのようなプロセスでの決定なのか明らかにしてほしい」旨をメールした。
すると、担当者3人が近所のカフェまで出向いてくれた。
説明によると、「継続任用の採否は、1.本人の継続意思の有無2.人事評価3.その他勤務成績に基づく評価の
総合的判断による。任命権者は東京地方協力本部長」だという。非常に低姿勢ながら、「理由は今後の採用等に影響が
あるので明らかにできない」の繰り返しだった。
いやいや、「明らかにしない」方が、採用にはより影響が大だと思うのだが…。
関係者を通じて、同様に「理由不明」で、最近クビになった人がいないか情報を集めたところ、奈良県で
技能公募予備自衛官を9年務めた医師が同じ憂き目にあっていたことが判明した。同氏と私の共通項が狩猟免許を持ち
猟銃を所持していることだったので、当初は安倍晋三元首相暗殺事件の余波を食らったのかと推察した。
だが、その後、猟銃とは無関係な複数の、それもやる気のある予備自衛官たちから理由不明でクビになったとの連絡が
続いている。
一体、自衛隊に何が起きているのか。
折しも、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんのセクハラ問題で特別防衛監察が行われ、陸上幕僚長が謝罪したばかり。
行政手続きの透明性が求められている社会状況下、採否理由を回答できないというスタンスがいつまで通用するかについても疑念を抱かざるを得ない。
こうした事実が明らかになるごとに志願者が減り、組織が自らの首を絞めることになるという事実にも、誠実に向き合っていただきたいと心から思う。
自衛官が不足しているこのご時世に何が起きているのでしょうか