コンビニ大量閉店時代が来る?
2026年6月4日
<零細事業者の犠牲と、利便性の代償としての定価・高額販売に支えられてきた
コンビニエンスストアという特殊モデルが立ち行かなくなっている>
コンビニの生みの親と呼ばれた、セブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉顧問の
鈴木敏文氏が死去した。くしくも同じタイミングで、日本の生活インフラに成長したコンビニが
大きな転換点を迎えつつある。
日本におけるコンビニ全体の売上高は12兆円を超えており、小売業界における存在感は群を抜く。
日本国民のほぼ全員が利用するサービスとも言えるが、
逆に言えばコンビニの将来は日本の人口動態に直結している。
全体の店舗数は現時点では何とか横ばいを保っているものの、大手3社で90%以上のシェアを持つ
典型的な寡占市場であり、成長の限界が来ていることは明らかだ。
客数は前年比マイナスとなる月が多くなっており、人口減少を相次ぐ値上げでカバーする図式が続く。
コンビニはもともと、セブン(当時はイトーヨーカ堂)の鈴木氏らが大店法(大規模小売店舗法)の
網をくぐり抜ける目的でつくり上げた業態で、そもそも収益を上げにくい構造だった。
店舗面積が狭く運営コストが高いことをカバーするため顧客を大量来店させ、
値引きせずに販売しなければ事業として成り立たない。
コンビニが定価でしか販売しないことや、24時間営業を基本としていたこと、
店舗照明が異様なまでに明るいこと、近隣に何件も同じ店舗を出店していること(ドミナント戦略)
など、ある種、異形のビジネス形態となっていたのは、コンビニ事業の特殊性に由来している。
さらに言えば、店舗の多くがフランチャイズであることも特徴的であった。
実際に店舗経営を行う零細事業者の中には低収益に苦しむところも多く、
あえて言葉を選ばずに言えば、店舗運営に携わる零細事業者の犠牲と、
消費者が利便性の代償として高い買い物を強いられることにより成り立ってきた業界と言えよう。
それでも、コンビニは圧倒的な利便性を武器に急成長し、小売業の主役に躍り出たが、
近年、顕著となった日本の低賃金とインフレが強い逆風となりつつある。
先日、ある有名司会者が「自分は贅沢をしない。コンビニで十分」と発言して視聴者から
反発を受けるという出来事があった。
所得の高い中高年以上の世代にとってコンビニは気軽に行ける庶民の店かもしれないが、
低所得層にとっては、むしろ贅沢な店として認識され始めている。
実際、コンビニ店舗において収益源となっているのは、
経済的に余裕がある高齢者をターゲットにした単価の高い商品ばかりである。
先にも触れたようにコンビニには、大量来店を促し、
かつ高くモノを売らないとビジネスが成り立たないという特殊性がある。
地方を中心に必要な来客数を確保できない店舗や、
人手不足などからきめ細やかな配送に対応できない店舗が増えていることに加え、
多くの日本人にとってコンビニで大量に消費できる体力はもはや消滅している。
業界関係者の中からは、今後、過疎地を中心に閉店が相次ぐと予想する声も出てきている状況だ。
日本社会は、民間企業が運営するコンビニ店舗を半ば公共施設として活用してきた面があり、
コンビニがなくなると限界集落が一気に増えるという問題が否定できない。
行政は店舗減少が顕在化する前に、地域インフラの在り方について再検討する必要があるだろう。
コンビニも転換期を迎えてきていることだということですね
もみじより