「いい加減にしてくれ」…維新で反発強まる「橋下院政」 新体制での挙党一致にリスク
2025年8月18日
日本維新の会の新たな執行部が始動した。吉村洋文代表(大阪府知事)が挙党一致を掲げる中、リスク要因として危惧されるのが、
党創設者の橋下徹元大阪府知事の影だ。「副首都構想」実現に向けた自公政権との連立論は橋下氏の発言を機に火が付いた。
党内には約10年前に政界引退した橋下氏をなお慕う議員が少なくない一方、
選挙で選ばれていない「部外者」が幅をきかせる現状に反発もある。
「橋下院政」の疑念を払拭できなければ、新体制での挙党一致はおぼつかない。
■連立入りを提案 「自民、公明は弱っている。副首都構想一本に絞って、連立を組んだらいい」。
参院選翌日の7月21日、テレビ番組に出演した橋下氏は、自公両党が衆参両院で過半数を割ったことを念頭に、こう踏み込んだ。
副首都構想は、東京一極集中の是正や非常時の首都機能代替などを目的とする。
統治機構改革を通じて地方分権・多極型社会への移行を目指す維新にとって、原点といえる目玉政策だ。
吉村氏は実現のための法案作成を指示した。
■広がる容認論 連立入りを巡る橋下氏の発言後、地域政党「大阪維新の会」で容認論が広がった。
大阪府議団の河崎大樹代表は「実現できるなら、手段はより可能性が高まる方がいい」と賛同。
横山英幸代表代行(大阪市長)も「あらゆる選択肢は取るべきだ」とする。河崎氏は橋下氏が府知事を務めた際の特別秘書。
横山氏は、橋下氏が大阪維新代表だった平成23年に府議になった「橋下チルドレン」の一人だ。
大阪の地方議員や、地方議員出身の国会議員の中には、かねて橋下氏の主張に共鳴する向きが少なくない。
実際、橋下氏の発言が影響したとみられる事案は今回に限らない。
■過去にも影響力 昨年の衆院選で維新が議席を減らした際、橋下氏は自身のX(旧ツイッター)で、
自民と水面下で交渉する馬場伸幸代表時代の国会対応を「飲み食い政治」と批判し《代表選はマスト》などと発信した。
維新の所属議員は代表選実施を決定し、吉村氏を代表に選出。その後、党内で飲食費の上限を設定してルール化した。
兵庫県知事の告発文書問題に関連し、情報漏洩(ろうえい)に関与した県議2人の処分内容を巡っても、
橋下氏が《逆、逆》と投稿した直後、当初検討していた2人の処分の軽重が指摘通り逆転した経緯がある。
■「目の上のたんこぶ」
吉村氏は橋下氏の発言の影響を否定するが、党内では、すでに引退した人物の意見に振り回されているようにみえる執行部への反発が
渦巻く。大阪市議は「(橋下氏は)目の上のたんこぶ。外部の人間の意見は無視すべきだ」と語気を強めた。
旧執行部の一人は「一般の人から橋下氏と維新は関係があると思われており、プラスではない」と話す。
橋下氏は「政治とカネ」の問題などを巡り、大阪維新の改革実績を引き合いにたびたび国会議員団を批判しているが、
ベテラン議員は「いつまでも同じことをいって、民意からずれている」と冷ややかにみる。
国会議員の中には「いいかげんにしてくれ」と辟易(へきえき)し、執行部に対応を求める動きもあるといい、
このベテラン議員は「吉村代表が橋下氏をいさめるべきだ」と苦言を呈す。
当の吉村氏は12日、藤田文武共同代表とともに臨んだ幹事長ら新三役の発表記者会見で
「挙党一致して政策を実現する集団としてぶつかっていくことが重要だ。党内で一致団結しないと十分な力を発揮できない」と強調した。
一致団結のためには「維新は橋下氏の影響下にある」といった巷間(こうかん)に
くすぶる疑念を払拭することが求められそうだ。
橋下さんの影がなければこの党はしっかりとした人材が育ったのでしょうか?皆さんはどう思いますか